外部オート調光

高精度S-TTLオート調光でも、カメラの特性や撮影条件によっては、好みの光量が得られないことがあります。
Z-240とD-2000に搭載されている外部オート調光が、撮影者の意図に応えます。

「S-TTLオート調光」で適正光量が得られないケース

 ストロボの発光量を全自動で調節する「S-TTLオート調光」の登場で、誰でも気軽に水中撮影を楽しめるようになりました。しかし、全てのシーンでパーフェクトな調光結果が出るわけではありません。
 例えば、逆光で撮影する場合、カメラが十分に明るいと判断して内蔵フラッシュを弱めに発光すれば、外部ストロボも弱めに発光し、主役の魚が暗く写ります。また、昨今のコンパクトデジタルカメラには、フラッシュを控えめにして、環境光を活かすような制御をするものがあります。陸上では、フラッシュ光によるテカリや濃い影が抑えられ、自然な雰囲気で写真を撮れる便利な特性ですが、水中撮影に限ってはそうはいきません。水は赤系統の光を吸収するため、海に差し込む太陽光は、深く行けば行くほど青一色になり、青かぶりした写真となります。環境光重視のカメラに外部ストロボを接続しても、「S-TTLオート調光」は内蔵フラッシュの制御をコピーして微弱発光するだけで、青かぶりした画像のままです。「S-TTLオート調光」では、「EV.コントロールスイッチ」をプラスへ補正するか、カメラ本体のフラッシュ調光補正をプラスに補正することで、ストロボ光を強くすることができます。しかし、撮影条件やカメラの特性によっては、補正しきれないことがあります。
 デジタルカメラは、撮影した画像をすぐに液晶モニターで確認できるため、撮影しながらストロボの発光量を調節していけば、「マニュアル調光」も難しくありません。しかし、せっかく適正光量に設定しても、被写体との距離が変わる毎に発光量を設定し直さなければなりません。臆病なハゼに徐々に近寄りながら撮影する場合、近づくたびにダイヤルを回して光量を小さくする動作が発生するため、ハゼに逃げられる可能性が高くなります。

「S-TTLオート調光」で撮影

「S-TTLオート調光」で撮影。カメラが明るいと判断して、フラッシュを微弱発光した結果、全体に青かぶりしている

「外部オート調光」で撮影

「外部オート調光」で撮影。サンゴや魚にストロボ光がしっかりとあたっている

ストロボが光量を決定する半自動「外部オート調光」

 Z-240/D-2000に搭載されている「外部オート調光」は、ストロボが発光して被写体から反射してきた光を、ストロボに搭載されている調光センサーが測光し、ストロボ自体が発光量を決定します。カメラと完全に独立しているため、カメラの特性に左右されることはありません。また、一度設定が決まれば、撮影距離が変わっても設定を変える必要がないため、「マニュアル調光」よりも気軽に撮影ができます。
 「外部オート調光」は、カメラ本体の「絞り」や「ISO感度」の設定を、撮影者がストロボにインプットする必要があります。そういう意味では、半自動の調光と言えます。基本的な操作は、Z-240/D-2000のメインモードスイッチを「AUTO」に設定し、カメラの絞り値を読み取って、その値とZ-240/D-2000の「EV.コントロールスイッチ」を合わせるだけです。「EV.コントロールスイッチ」の周りには、2.8、4、5.6などの数値が記されています。この値は、カメラのISO感度が100の場合の絞り値で、カメラの絞り値が5.6であれば、「EV.コントロールスイッチ」も5.6に合わせます。カメラのISO感度が200に設定されている場合は、5.6から2ノッチ左(Darkenの矢印方向)に回して4に合わせます。ISO感度が400の場合は、4ノッチ左に回して2.8に合わせます。
 コンパクトデジタルカメラでも、絞り優先(A)やマニュアル(M)の撮影モードを搭載している機種では、絞りを固定して撮影することができます。一方、カメラ任せのプログラムオート(P)のみの機種は、絞りを固定できません。その多くの機種が、液晶モニターに現在の絞り値を表示してくれません。こうなると、「EV.コントロールスイッチ」の値をカメラの絞り値に合わせるのは、困難となります。ところが、こういったフルオート機の絞りは2段切り換えの場合が多いようで、ズーム位置を変えたり、マクロモードをON/OFFしたり、カメラの向きを大きく変えたりしなければ、絞りが頻繁に変化することはありません。絞り値を合わせることは忘れて、試し撮りをしながら、適正光量が得られる「EV.コントロールスイッチ」の位置を探し出す方法も有効なのです。
 まずは、ISO感度を100や200などに固定し、撮影する被写体に合わせてズーム位置を調節します。近くにある岩やサンゴなど動かないものをテスト撮影して、ちょうど良い発光量が得られる「EV.コントロールスイッチ」の位置を探します。その設定のまま目的の被写体を撮影すれば、ある程度良好な光量が得られます。あとは、「EV.コントロールスイッチ」を微調節するだけです。撮影距離が変わっても設定を変える必要はありません。
 このようにして、ワイド撮影用、マクロ撮影用などいくつかの撮影シーンに合った「EV.コントロールスイッチ」の位置を覚えておけば、「S-TTLオート調光」で思うような光量が得られない時、すぐに「外部オート調光」に切り替えて対応できます。

 
被写体からの反射光を測光する調光センサー

被写体からの反射光を測光する調光センサー


外部オート調光(AUTO)に設定

外部オート調光(AUTO)に設定


 
ストロボの発光を調光センサーがリアルタイムに測光し、適正露出になったところで、ストロボの発光を停止させる

ストロボの発光を調光センサーがリアルタイムに測光し、適正露出になったところで、ストロボの発光を停止させる