限りなく鮮明な画像を追求したマルチコート光学ガラスレンズは、単なる防水ガラスとは異なり、ガラスの中でも最も高い均質度と透過率、そして精密な屈折率と分散特性が要求されます。
- 厳選された原料
- 製造段階における長時間の研磨作業
- 光学性能測定
など、厳密な品質管理に合格して初めて光学ガラスとなるのです。
また、マルチコーティング処理は透過性光の減少を抑え、面反射によるゴースト、フレア減少を抑制します。
マルチコートされていないポートでは、レンズと空気との境界面の屈折率の違いにより、約5%もの透過光が反射してしまいます。
また、ポートの内側では内面反射が写り込むゴースト、フレア現象を起こします。ワイド系、特に逆光下における白っぽい写真やシャープさに欠ける写真は、光学ガラスレンズでなかったり、マルチコート処理が施されていないが故の必然的な結果です。
マルチコート無し
マルチコート有り
>>>ポートレンズの表面反射
マルチコートされていないポートレンズでは、空気(ポート内側)との境界面で約5%の透過光が反射されています。マルチコートされたイノンのポートではその反射率を1%以内に抑えられています。ほんの数パーセントの違いも仕上がりは格段に違います。
[フレア] ってなに?
レンズに当たった光がレンズ内などで複雑に反射して起きる現象。画像のコントラストを下げたり、部分的に白っぽく、または色のにじみとして写り込むことがある。
[ゴースト] ってなに?
フレアの中でも、太陽などの明るい光源を画面内に入れた時に生じる、光の輪や多角形の模様。光源と画面中央を結んだ線上に出る。
[コーティング]ってなに?
レンズの表面反射を減らすために、屈折率の低い薄膜を施すこと。異なる特性の単層コートを組み合わせる事により光の透過率を向上させたものをマルチコートと呼ぶ。
[光学ガラス] ってなに?
カメラ、レンズ望遠鏡などの光学製品に用いられているガラス。精密な屈折特性と分散性を持ち、均質で透明感が高いことなどが要求される。
「決定的瞬間」にシャッターを切る。思うような構図で、当然ピントが合い、露出も決まっていて、そして自分の心に響く写真となる。これだけのことなのに、難しいのです。まして、水中となると、その難しさは陸上の比ではありません。
水中で決定的瞬間を撮影するためには、ダイビングスキルもさることながら、撮影機材の性能によるところも大きいでしょう。当然のことですが、陸上用のカメラを水中で使用するには、防水ハウジングに入れる必要があります。水圧に耐える箱を作って、外からカメラを操作できるようシャッターレバーとボタン、グリップを設置すれば、とりあえず撮影はできます。本当に、とりあえずで、決定的瞬間をものにすることは難しいでしょう。ハウジングはただの防水の箱であってはいけないのです。
ほとんどのハウジングは、マニュアルでフォーカシングするには、レンズにギアを取り付け、ハウジングの左横かポートにある小さなノブを回して操作しています。ノブを回してフォーカスを合わせる場合、左手はカメラを支えることに貢献できず、右手に負担がかかってしまいます。そうなると、シャッターレバーを操作する、右手人差し指の繊細さを欠いてしまいます。
イノンのMRS(マグネティック・ロータリー・システム)ポートは、レンズにはギアの代わりに磁石リングを装着。ポート側の「操作磁石リング」を回すだけで、磁石の力でフォーカシングができます。ポート側の「操作磁石リング」とレンズのフォーカスリングが1:1で回るため、ギア比/トルクとも、陸上でレンズを操作するのと同じ感覚で操作できます。また、左手でポートを下から支えることになるため、右手に過度の加重がかかることもありません。右手でカメラのボディーを握り、左手でレンズ部を持つその構えは、まさに「陸上と同じ使用感」なのです。
また、ギアを使ったフォーカシングシステムでは、高倍率のテレコンバーターを使用したいとき、専用のギアを必要としました。MRSポートなら、EXT.リングのみ買い足せばいいのです。